症例報告

陰茎尿道腺癌の1例

松延　亜紀¹　　　薬師寺　舞¹　　　山本美保子¹　　　内橋　和芳¹　　　青木　茂久¹　　　一倉　晴彦²　　　戸田　修二¹　　　河野　真司³

（¹佐賀大学医学部病因病態科学講座，²医療法人原三信病院泌尿器科，³同　臨床病理科）

要旨: 56歳男性。8年前股間を打撲し，1年半前から排尿困難·尿閉となり，ブジー等による拡張治療が行われていたが，2ケ月前に陰茎基部の硬結に気付かれた。MRIで陰茎基部から先端方向に広がる腫瘍が認められ，生検で腺癌と診断されたため，陰茎切断術が行われた。腫瘍は主に陰茎近位尿道を中心として尿道海綿体，陰茎海綿体に広く浸潤していた。組織学的には高分化から中分化の腺癌であった。転移は臨床的·画像的に否定され，尿道原発の腺癌と判断した。発生部位·由来の特定は困難であった。

キーワード: penis, urethral carcinoma, adenocarcinoma

A case of the adenocarcinoma in the penile urethra

Aki Matsunobu¹, Mai Yakushiji¹, Mihoko Yamamoto¹, Kazuyoshi Uchihashi¹, Shigehisa Aoki¹, Haruhiko Ichikura², Shuji Toda¹, and Shinji Kono³

¹Department of Pathology & Microbiology, Faculty of Medicine, Saga University
Divisions of ²Urology and ³Clinical Pathology, Harasanshin Hospital

（論文受付　2011年11月25日）

（採用決定　2012年 6月11日）