症例報告

大腸原発腺内分泌細胞癌の1例

立野　正敏¹　　　米森　敦也²　　　田中　　敏³
柳内　　充⁴　　　青木　直子⁵

（¹釧路赤十字病院病理診断科，²同　外科，³札幌医科大学医学部第二病理，⁴市立札幌病院病理診断科，⁵旭川医科大学病理学講座）

要旨: 50代男性の大腸原発腺内分泌細胞癌 （mixed adenoneuroendocrine carcinoma:MANEC）の1例を報告する。検診にて異常を指摘され下部消化管内視鏡検査を行ったところ，バウヒン弁にまたがる10×12mmの2型腫瘍があり生検で陽性であり，右結腸切除術が施行された。組織学的に高分化型腺癌と大細胞神経内分泌細胞癌が衝突するように増殖しており，後者は神経内分泌細胞マーカー強陽性であり，前者は一部の細胞に弱陽性であった。両者の境界を形成する腫瘍細胞には移行像を認めた。所属リンパ節に転移を認めたが腺癌，神経内分泌細胞癌それぞれ分かれた転移であり，両者の混在や移行像を認めなかった。大腸原発腺内分泌細胞癌の報告は少なく，若干の文献的考察を加えて報告した。

キーワード: cecum, mixed adenoneuroendocrine carcinoma, synaptophysin

A case of mixed adenoneuroendocrine carcinoma of the cecum

Masatoshi Tateno¹, Atsuya Yonemori², Satoshi Tanaka³, Mitsuru Yanai⁴, and Naoko Aoki⁵

Departments of ¹Pathology and ²Surgery, Kushiro Red Cross Hospital
³Department of Pathology, Sapporo Medical University School of medicine
⁴Department of Pathology, Sapporo City General Hospital
⁵Department of Pathology, Asahikawa Medical University

（論文受付　2012年 2月24日）

（採用決定　2012年 4月 5日）