症例報告

足関節周囲に発生した軟部淡明細胞肉腫の1例

武田知加子1   庄盛 浩平1   山下 英樹2
遠藤 宏治2   井藤 久雄1

1鳥取大学医学部基盤病態医学講座器官病理学分野,2同 感覚運動医学講座運動器医学分野)

要旨: 10代後半の男性。数年前から自覚していた右踵部の腫瘤に増大傾向があり,疼痛が出現したため近医を受診した。画像検査で皮下に2.5cm大の腫瘍が確認され,摘出術が行われた。腫瘍細胞は大型不整な核と明瞭な核小体を有し,細胞質はやや淡明であった。これらが索状,胞巣状となり密に増生していた。また,細胞質内外に褐色顆粒が多数みられた。免疫組織化学ではS-100蛋白が強陽性,HMB-45が陽性であった。表皮との連続性はなく,FISH法でEWS遺伝子の転座が確認され,軟部淡明細胞肉腫と診断した。

キーワード: soft tissue, clear cell sarcoma, FISH, translocated gene, diagnosis


A case of clear cell sarcoma of soft tissue in the foot

Chikako Takeda1, Kohei Shomori1, Hideki Yamashita2, Koji Endo2, and Hisao Ito1

1Division of Organ Pathology, Departments of Microbiology and Pathology and 2Orthopedic Surgery, Faculty of Medicine, Tottori University

(論文受付 2012年 2月22日)

(採用決定 2012年 4月 5日)