症例報告

小腸の腸重積症に合併したflorid vascular proliferationの1例

立野　正敏¹　　　近江　　亮²　　　柳内　　充³
青木　直子⁴

（¹釧路赤十字病院病理診断科，²同　外科，³市立札幌病院病理診断科， ⁴旭川医科大学病理学講座）

要旨: 80代男性の腸重積を契機として発見されたflorid vascular proliferation （FVP）の1例を報告する。急激な腹痛とイレウス症状があり，緊急開腹術を施行し小腸の部分切除を行った。重積部に一致して穿孔があり，口側に隆起を伴う変色域を認めた。組織では表面に壊死があり，拡張した毛細血管の集合状ないし単体での増生があり固有筋層を貫いて漿膜面でも毛細血管の増生を認めた。免疫組織化学的にCD31陽性で一部の拡張した血管にはD2-40が陽性であった。Ki-67は60%以上の内皮細胞に陽性所見を認めた。血管肉腫との鑑別が問題となったが，核異型に乏しく，核分裂像をほとんど認めないことからflorid vascular proliferationと診断した。若干の文献的考察を加えて報告した。

キーワード: ileum, florid vascular proliferation, angiosarcoma, intussusception

A case of florid vascular proliferation associated with intussusception of the ileum

Masatoshi Tateno¹, Makoto Ohmi², Mitsuru Yanai³, and Naoko Aoki⁴

Departments of ¹Pathology and ²Surgery, Kushiro Red Cross Hospital
³Department of Pathology, Sapporo City General Hospital
⁴Department of Pathology, Asahikawa Medical University

（論文受付　2012年 1月30日）

（採用決定　2012年 3月23日）