症例報告

肺のOncocytic carcinoidの1例

立石　文子¹　　　阿部　光文²　　　干川　晶弘¹
高木　正之¹

（¹聖マリアンナ医科大学病理学教室，²町田市民病院病理検査室）

要旨: 肺のoncocytic carcinoidの1例を経験したので報告する。患者は60代男性で，検診で結節性陰影を指摘され，右中下肺葉切除術が施行された。組織学的には，気管支粘膜下に線維性被膜を有する境界明瞭な充実性腫瘤を認め，好酸性顆粒状胞体を有する腫瘍細胞が，小胞巣やロゼット様配列を呈して増殖していた。腫瘍細胞はGrimelius染色で細胞質内に好銀性顆粒を認め，免疫組織化学的検索で抗Chromogranin A抗体，抗Synaptophysin抗体が陽性で，抗Mitochondria抗体は細胞質が顆粒状に強陽性であった。電顕所見で，細胞質内にミトコンドリアの増生と神経内分泌顆粒を認め，oncocytic carcinoidと診断した。oncocytic carcinoidは稀な腫瘍で，carcinoid tumorの一亜型である。診断に際し免疫組織化学と電顕所見が重要となる。

キーワード: lung, oncocytic carcinoid

A case of oncocytic carcinoid of the lung

Ayako Tateishi¹, Mitsubumi Abe², Masahiro Hoshikawa¹, and Masayuki Takagi¹

¹Department of Diagnostic Pathology, St. Marianna University School of Medicine
²Department of Laboratory Medicine, Machida Municipal Hospital

（論文受付　2011年10月18日）

（採用決定　2012年 3月30日）