症例報告

色素性類上皮黒色腫（pigmented epithelioid melanocytoma）の1症例

上原慶一郎¹　　　市村　隆也¹　　　金　　　玲²
新井　栄一³　　　村田　晋一¹　　　安田　政実¹
佐々木　惇²　　　清水　道生¹

（¹埼玉医科大学国際医療センター病理診断科，²埼玉医科大学病院中央病理診断部，³埼玉医科大学総合医療センター病理部）

要旨: 症例は12歳女性。生下時から右手背に大きさ1cm弱の淡黒色斑を認めていた。臨床診断は青色母斑であった。組織学的には，高度にメラニン色素の沈着した病変で，類上皮細胞が結節状に増殖していた。色素沈着が高度で，メラノファージがほとんど認められないことから色素性類上皮黒色腫（pigmented epithelioid melanocytoma）と考えられた。色素性類上皮黒色腫は，低悪性度のメラノサイト系腫瘍と考えられる比較的新しい疾患概念である。センチネルリンパ節への転移を認めることがあり，臨床医のみならず，病理医も認識することが重要な疾患である。

キーワード: skin, pigmented epithelioid melanocytoma, blue nevus, animal-type melanoma, Carney complex

A case of pigmented epithelioid melanocytoma

Keiichiro Uehara¹, Takaya Ichimura¹, Ling Jin², Eiichi Arai³, Shin-ichi Murata¹, Masanori Yasuda¹, Atsushi Sasaki², and Michio Shimizu¹

¹Department of Pathology, Saitama Medical University, International Medical Center
²Department of Pathology, Saitama Medical University Hospital
³Department of Pathology, Saitama Medical University, Saitama Medical Center

（論文受付　2012年 1月 6日）

（採用決定　2012年 1月25日）