症例報告

膵内副脾に生じた類表皮嚢胞の3症例

江河　勇樹¹　　　大月　寛郎¹　　　清水　進一¹
細田　佳佐²　　　牛田進一郎³　　　町田　浩道³
中谷　雄三⁴　　　小林　　寛^1,5

（¹聖隷浜松病院病理診断科，²同　消化器内科，³同　外科，⁴中谷外科·消化器科医院，⁵立川綜合病院病理科）

要旨: 当院で経験した膵内副脾に発生した類表皮嚢胞3例の臨床病理学的検討を行った。症例は70代女性，40代女性，30代男性であり，膵尾部にそれぞれ40mm，53mm，15mm大の嚢胞性病変を認めた。組織学的に嚢胞は膵内に存在し，嚢胞内腔は非角化型重層扁平上皮が裏打ちしていた。嚢胞周囲には脾組織が認められ，慢性炎症や線維化を一部に伴っていた。線維化巣には小型膵管とランゲルハンス島が存在し，1例では膵管に扁平上皮化生を認めた。以上の所見から，我々は本疾患の嚢胞の起源を膵管と推測した。

キーワード: pancreas, intrapancreatic accessory spleen, accessory spleen, epidermoid cyst, pathology

Epidermoid cyst of the intrapancreatic accessory spleen:a report of three cases

Yuki Egawa¹, Yoshiro Otsuki¹, Shin-ichi Shimizu¹, Yoshisuke Hosoda², Shinichiro Ushida³, Hiromichi Machida³, Yuzo Nakaya⁴, and Hiroshi Kobayashi^1,5

Departments of ¹Pathology,²Gastroenterology, and ³Surgery, Seirei Hamamatsu General Hospital
⁴Nakaya Clinic
⁵Department of Pathology, Tachikawa General Hospital

（論文受付　2011年11月29日）

（採用決定　2012年 3月23日）