原著論文

線維形成を伴う皮膚良性上皮性腫瘍

楢原　秀雄¹　　　田中　希央¹　　　矢田　直美²
駄阿　　勉²　　　加島　健司²　　　西田　陽登²
荒金　茂樹²　　　藤原　作平³　　　横山　繁生²

（¹大分大学医学部医学科，²同　診断病理学講座，³同　皮膚科学講座）

要旨: 悪性腫瘍ないしは癌化との鑑別が問題となる線維形成を伴う良性上皮性皮膚腫瘍14例を臨床病理学的に検討した。線維形成は脂漏性角化症などのsquamous eddyや棘融解を伴う腫瘍に多く，組織学的特徴は小胞巣状の好酸性腫瘍細胞，線維組織と腫瘍との境界部の虫食い状パターンであった。一方，外毛根鞘腫では腫瘍細胞の索状·網状パターンが目立ち，基底膜様の線維組織も混在していた。良悪性の鑑別点として，異型性が軽度，核分裂像が稀，病変が本来の腫瘍内に限局，ないしは病変が想定される腫瘍の最外縁をこえないことなどが重要と考えられた。

キーワード: benign skin tumors, desmoplasia, pseudocarcinomatous lesion, immunohistochemistry

Benign epithelial tumors with desmoplasia of the skin

Hideo Narahara¹, Kio Tanaka¹, Naomi Yada², Tsutomu Daa², Kenji Kashima², Haruto Nishida², Motoki Arakane² Sakuhei Fujiwara³, and Shigeo Yokoyama²

¹School of Medicine, Departments of ²Diagnostic Pathology, and ³Dermatology, Faculty of Medicine, Oita University

（論文受付　2012年 2月 7日）

（採用決定　2012年 4月 9日）