症例報告

女性尿道原発のclear cell adenocarcinomaの1例

吉田　　裕¹　　　丹野　修宏¹　　　田中　顕之¹
栃木　直文¹　　　鈴木　規之²　　　鈴木　良夫¹

（¹総合病院国保旭中央病院臨床病理科，²同　泌尿器科）

要旨: 症例は47歳の女性。排尿困難を主訴に当院を受診。子宮筋腫および尿道腫瘤を指摘され，単純子宮全摘術および術中尿道腫瘤生検が施行された。尿道腫瘤はadenocarcinomaであり，尿道膀胱全摘術·骨盤内リンパ節郭清が施行された。尿道摘出標本では，尿道粘膜下に主座を置く6.6×4.5×1.6cm大の壊死を伴う腫瘤を認めた。組織学的には，腫大した核と淡明な胞体を持つ異型細胞が乳頭状或いは不整な腺管を形成して増殖·浸潤しており，clear cell adenocarcinoma （CCA）と診断した。尿道原発のCCAは稀な疾患であり，その発生母地や臨床病理学的特徴について文献的考察を加え報告する。

キーワード: female urethra, clear cell adenocarcinoma, urethral diverticulum

Clear cell adenocarcinoma of the female urethra;a case report

Hiroshi Yoshida¹, Nobuhiro Tanno¹, Noriyuki Tanaka¹, Naobumi Tochigi¹, Noriyuki Suzuki², and Yoshio Suzuki¹

Departments of ¹Pathology and ²Urology, Asahi General Hospital

（論文受付　2011年10月26日）

（採用決定　2011年12月26日）