症例報告

Secondary Müllerian systemに由来すると推察された子宮漿液性腺癌の1例

真田　咲子¹　　　角　　明子²　　　三島すみれ³
山口　知彦⁴　　　嘉村　敏治³　　　矢野　博久¹

（¹久留米大学病理学講座，²同　放射線科学講座，³同　産科婦人科学講座，⁴久留米大学病院病理部）

要旨: 症例は50歳，女性。子宮筋腫で治療経過観察中に急速増大する子宮腫瘤を指摘された。摘出された子宮後面には漿膜下側から外方性に発育する腫瘍の増殖があり，扁平上皮への分化や多核巨細胞の出現，肉腫様変化などの多彩な形態を示す漿液性腺癌で，類内膜腺癌や癌肉腫との鑑別を要した。腫瘍は内膜との連続を欠いて子宮の漿膜側より発生しており，筋層内には腺筋症は確認されなかった。発生起源としてsecondary Müllerian systemが推察された。

キーワード: Uterus, Serous adenocarcinoma, Secondary Müllerian system, Squamous differentiation, Multinucleated giant cell

Uterine serous adenocarcinoma, probably arising in secondary Müllerian system, report of a case

Sakiko Sanada¹, Akiko Sumi², Sumire Mishima³, Tomohiko Yamaguchi⁴, Toshiharu Kamura³, and Hirohisa Yano¹

Departments of ¹Pathology, ²Radiology, and ³Obstetrics and Gynecology, Kurume University
⁴Department of Diagnostic Pathology, Kurume University Hospital

（論文受付　2011年7月11日）

（採用決定　2011年11月25日）