症例報告

粘液炎症性線維芽細胞肉腫の1例

久岡　正典¹　　　松山　篤二¹　　　中本　充洋¹
横山庫一郎²

（¹産業医科大学医学部第1病理学，²国立病院機構小倉医療センター整形外科）

要旨: 60代女性の足背に生じた稀な粘液炎症性線維芽細胞肉腫を経験したので報告する。病変は周囲との境界の不明瞭な約3 cm大の皮下腫瘍で，約5年間で徐々に増大したため切除された。組織学的に粘液線維性の基質を伴って類円形ないし紡錘形細胞が増殖し，多形細胞や偽脂肪芽細胞，ホジキン細胞様の好酸性大型核小体を有する細胞が混在し，巣状に炎症細胞浸潤もみられた。摘出生検後に追加切除が施行され約4年が経過するが，再発や転移を認めていない。本例の如く多形性に富む病変の場合には，他の多形性肉腫との鑑別も重要と考えられた。

キーワード: soft tissue, myxoinflammatory fibroblastic sarcoma, myxoid tumor

A case of myxoinflammatory fibroblastic sarcoma

Masanori Hisaoka¹, Atsuji Matsuyama¹, Mitsuhiro Nakamoto¹, and Koichiro Yokoyama²

¹Department of Pathology and Oncology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
²Department of Orthopedic Surgery, National Hospital Organization, Kokura Medical Center

（論文受付　2011年 8月31日）

（採用決定　2011年10月18日）