症例報告

下唇に生じた非定型アスペルギルス症の1例

藤井　信行^1,2　　　庄盛　浩平¹　　　土井理恵子²
領家　和男²　　　井藤　久雄¹

（¹鳥取大学医学部基盤病態医学講座器官病理学分野，²同　感覚運動医学講座口腔顎顔面病態外科学分野）

要旨: 口腔真菌感染症は口腔カンジダ症が最も一般的であるが，アスペルギルス症も見逃すことのできない重要な疾患である。症例は健康な60代の女性。左下唇の違和感を主訴として当院歯科口腔外科を紹介受診した。左下唇粘膜下に弾性硬の腫瘤が触知され，局所麻酔下に摘出された。病理組織学的には，PAS染色，Grocott染色に陽性を示す真菌塊が観察され，アスペルギルスの形態を呈していた。

キーワード: lower lip, fungal infection, aspergillosis

A case of atypical aspergillosis in the lower lip

Nobuyuki Fujii^1,2, Kohei Shomori¹, Rieko Doi², Kazuo Ryoke², and Hisao Ito¹

Divisions of ¹Organ Pathology, Department of Microbiology and Pathology and ²Oral and Maxillofacial Biopathological Surgery, Department of Medicine of Sensory and Motor Organs, Faculty of Medicine, Tottori University

（論文受付　2011年 8月23日）

（採用決定　2011年 9月29日）