症例報告

右半結腸切除で治療された進行癌合併鋸歯状ポリポーシスの1例

野首　光弘¹　　　前田　孝文²　　　桑原　悠一²
谷口　　肇²　　　小西　文雄²　　　岩城　孝明³
吉田　行雄³　　　山田　茂樹¹

（¹自治医大さいたま医療センター病理部，²同　外科，³同　消化器科）

要旨: 症例は78歳男性。右側結腸に10mm以上の平坦なポリープが多発し，4回の内視鏡検査で粘膜切除された15個が組織診で鋸歯状ポリープと確認され，鋸歯状ポリポーシスと診断された。7mm大の1個は病変の中央表層部に1mmの高異型度腺腫を含みWHO分類のsessile serrated adenoma/polyp with cytological dysplasiaに相当した。残存するポリープの監視目的で11ケ月後に施行された内視鏡で右側結腸に初めて癌が見つかり切除術を受けた。癌には鋸歯状ポリープと共通するBRAF遺伝子変異が認められ，鋸歯状ポリープが前癌病変であることが示唆された。鋸歯状ポリポーシスは腸切除の選択肢も考慮し慎重な管理を行うべきと考えられた。

キーワード: colon and rectum, hyperplastic polyposis, serrated polyp, serrated polyposis

A case of serrated polyposis with advanced cancer treated by right hemicolectomy

Mitsuhiro Nokubi¹, Takafumi Maeda², Yuichi Kuwahara², Hajime Taniguchi², Fumio Konishi², Takaaki Iwaki³, Yukio Yoshida³, and Shigeki Yamada¹

Divisions of ¹Pathology, ²Surgery, and ³Gastroenterology, Jichi Medical University Saitama Medical Center

（論文受付　2011年 3月22日）

（採用決定　2011年 7月19日）