症例報告

子宮頸部腺様基底細胞上皮腫と子宮類内膜腺癌が併存した1例

山下　　篤¹　　　佐藤勇一郎¹　　　肥後　貴史²
浅田祐士郎¹

（¹宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野，²古賀総合病院産婦人科）

要旨: 症例は80代の女性。性器出血を契機に子宮類内膜腺癌を指摘され子宮両側付属器摘出術を受けた。子宮峡部直下の頸管に隆起する類内膜腺癌とそれに隣接する頸部の顕微鏡的病変を認めた。頸部上皮直下から頸部腺を越える深部にかけて類基底細胞が胞巣状に増殖し，腺管や扁平上皮への分化，偽篩状構造を示していた。胞巣周囲に間質反応を認めず，胞巣内辺縁では類基底細胞が柵状配列を呈していた。なお，類内膜腺癌との移行ないし連続性を認めなかった。以上の所見より頸部の顕微鏡的病変を腺様基底細胞上皮腫と診断した。

キーワード: uterine cervix, adenoid basal epithelioma

A case of adenoid basal epithelioma coexisted with uterine endometrioid adenocarcinoma

Atsushi Yamashita¹, Yuichiro Sato¹, Takashi Higo², and Yujiro Asada¹

¹Department of Pathology, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
²Department of Obstetrics and Gynecology, Koga General Hospital

（論文受付　2011年 2月 4日）

（採用決定　2011年 7月19日）