症例報告

後日AIDS発症が明らかになった過形成性ポリープ類似の胃カポジ肉腫の1例

安田　和世¹　　　青野　茂明²　　　大浦　佳永²
鳥越　俊彦³

（¹自衛隊札幌病院病理，²同　内科，³札幌医科大学第1病理）

要旨: 内視鏡検査で発見されたAIDS関連胃カポジ肉腫の1例を報告する。3週間前に行われた健康診断時胃内視鏡検査で指摘された胃ポリープ病変の生検では，過形成ポリープおよび肉芽組織と診断されていた。その後，患者は黒色便を主訴として受診。血液検査にてHIV陽性であることが判明し，胃ポリープ病変に関して再検討が行われた結果，胃カポジ肉腫と診断された。検診時の胃生検によるAIDS関連カポジ肉腫の診断は容易ではないが，組織学的特徴と免疫組織染色結果に注意して鑑別を進めれば確定診断が可能になる。

キーワード: gastric polyp, Kaposi sarcoma, AIDS

Hyperplastic polyp-like gastric Kaposi sarcoma revealing late onset of AIDS─a case report

Kazuyo Yasuda¹, Shigeaki Aono², Kae Oura², and Toshihiko Torigoe³

Departments of ¹Pathology and ²Internal Medicine, Japan Self Defence Force, Sapporo General Hospital
³First Department of Pathology, Sapporo Medical University

（論文受付　2011年 1月11日）

（採用決定　2011年 6月 3日）