症例報告

肝腫瘤として発見された多形腺腫由来癌の術後肝転移の1例

甲斐　敬太¹　　　戸田　修二²　　　神谷　尚彦³
佐藤慎太郎⁴　　　三好　　篤³　　　北原　賢二³
久保　　洋³　　　能城　浩和³　　　徳永　　藏¹

（¹佐賀大学医学部病因病態科学診断病理学分野，²同　病因病態科学臨床病態病理学分野，³同　一般·消化器外科，⁴同　耳鼻咽喉科）

要旨: 65歳男性。肝腫瘤の精査加療目的に紹介された。画像による精査の結果，胆管細胞癌の診断で外科切除が施行された。組織学的には，明るい胞体を有する腫瘍細胞が，索状あるいは胞巣形成性に増生しており，通常の胆管細胞癌の像とは異なっていた。免疫組織化学による検討の結果，筋上皮由来の腫瘍と考えられ，病歴を再確認したところ7年前の唾液腺腫瘍の既往が明らかとなった。唾液腺腫瘍は多形腺腫の一部に筋上皮癌を交えた多形腺腫由来癌の所見であり，その筋上皮癌成分が肝に転移したものと診断した。

キーワード: carcinoma ex pleomorphic adenoma, metastasizing pleomorphic adenoma, liver metastasis

A case of carcinoma ex pleomorphic adenoma presented as metastatic hepatic nodule

Keita Kai¹, Shuji Toda¹, Naohiko Kohya², Shintaro Satoh³, Atsushi Miyoshi², Kenji Kitahara², Hiroshi Kubo², Hirokazu Noshiro², and Osamu Tokunaga¹

Departments of ¹Pathology and Biodefense, ²Surgery, and ³Otolaryngology, Faculty of Medicine, Saga University

（論文受付　2011年 5月14日）

（採用決定　2011年 7月19日）