症例報告

胸椎圧迫骨折で発見された小児結核の1例

河合　萌子¹　　　佐藤　　孝²　　　阿保亜紀子²
松下　翔子³　　　遠藤　幹也³　　　山田　友紀⁴
増田　友之²

（¹岩手医科大学医学部医学科，²同　病理学講座病理病態学分野，³同　小児科学講座，⁴岩手医科大学附属病院中央臨床検査部細菌検査室）

要旨: 症例は6歳男児。背部痛を主訴に来院。単純X線写真で第8胸椎の圧迫骨折を認めた。CT, MRIでは第8胸椎に周囲に軟部腫瘍様の骨外病変を伴う溶骨性変化を認めた。第6頸椎，第7，11胸椎，第2，3，4腰椎にも溶骨性変化が生じていた。第8胸椎周囲の骨外病変に針生検を行ったところ，病理組織学的に乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫とLanghans型巨細胞が出現していた。またZiehl-Neelsen染色では抗酸菌が認められた。その後生検組織より分離された培養菌株のPCR検査によりM. tuberculosisと確定され，スポリゴタイピング法によりマニラ株であることが判明した。患児はフィリピン滞在歴があり，現地で感染した可能性が強く考えられた。

キーワード: vertebral caries, compression fracture, Manila family of mycobacterium tuberculosis

A pediatric case of vertebral caries with pathological compression fracture

Moeko Kawai¹, Takashi Satoh², Akiko Abo², Syouko Matsushita³, Mikiya Endoh³, Yuki Yamada⁴, and Tomoyuki Masuda²

¹Medical student, Departments of ²Pathology, ³Pediatrics, and ⁴Laboratory Medicine, Iwate Medical University, School of Medicine

（論文受付　2010年11月19日）

（採用決定　2011年 6月 3日）