総　　説

腎盂·尿管·膀胱癌取扱い規約第1版の病理学的事項について

森永正二郎

（北里研究所病院病理診断科）

要旨: 従来の膀胱癌取扱い規約および腎盂·尿管癌取扱い規約の2つを合本として，腎盂·尿管·膀胱癌取扱い規約第1版が刊行された。病理学的事項は2004年のWHO分類に基づいており，異型度分類を従来のG1，G2，G3の3段階から低異型度と高異型度の2段階に変更したこと，尿路上皮癌に腺癌や扁平上皮癌が共存している場合には，その量にかかわらず，腺上皮への分化を伴う尿路上皮癌ないし扁平上皮への分化を伴う尿路上皮癌とし，腺癌や扁平上皮癌の診断名は， 尿路上皮癌成分が存在しない場合にのみ使用することとしたこと，などが主な改訂点である。

キーワード: renal pelvis, ureter, urinary bladder, urothelial carcinoma, histological grade

A commentary on newly revised “General Rule for Clinical and Pathological Studies on Renal Pelvic, Ureteral and Bladder Cancer”

Shojiroh Morinaga, MD

Department of Diagnostic Pathology, Kitasato Institute Hospital

（論文受付　2011年 5月30日）

（採用決定　2011年 6月 6日）