症例報告

癌肉腫の芽腫様亜型と診断した肺腫瘍の1例

増田　　渉　　　津嘉山朝達　　　和仁　洋治
能登原憲司

（倉敷中央病院病理検査科）

要旨: 症例は50代男性。健診で胸部異常陰影を指摘された。胸部computed tomography （CT）では右S2に40mm大の分葉状腫瘤を認めた。組織学的には淡明な胞体を有するprimitiveな細胞の乳頭状，腺腔形成性またはシート状増殖に加え，間質は線維化が目立ち一部に異型を伴う軟骨組織がみられた。高悪性度胎児肺型腺癌と軟骨肉腫からなる癌肉腫の芽腫様亜型と診断した。癌肉腫の芽腫様亜型の典型的な所見がえられ，古典的肺芽腫との相違が組織像および免疫組織化学的にも明確であった。

キーワード: lung, carcinosarcoma, blastomatoid variant, pulmonary blastoma, histology

Pulmonary carcinosarcoma, blastomatoid variant:a case report

Wataru Masuda, Chotatsu Tsukayama, Yoji Wani, and Kenji Notohara

Department of Pathology, Kurashiki Central Hospital

（論文受付　2011年 1月11日）

（採用決定　2011年 4月15日）