症例報告

膵臓の腺房·内分泌混合癌（mixed acinar-endocrine carcinoma） の1例

吉村　健司¹　　　加島　健司²　　　矢田　直美²
駄阿　　勉²　　　西田　陽登²　　　武野　慎祐³
小野　　潔³　　　山下　眞一³　　　川原　克信³
横山　繁生²

（¹大分大学医学部医学科，²同　診断病理学講座，³同　総合外科学第二講座）

要旨: 症例は70代女性。CTで膵頭部に境界明瞭な腫瘤を指摘され，膵頭十二指腸切除術が施行された。組織学的に，腫瘍は軽度異型性を示す類円形細胞の島状·索状増殖から成り，一部に静脈侵襲を認めた。免疫染色では，chromogranin A，pancreatic polypeptideに加え，アミラーゼ，α1-アンチトリプシンも陽性であったことから，腺房·内分泌混合癌と診断した。二重免疫染色では，腺房細胞の集団を内分泌細胞が取り囲む像や，両者が密に混在する像が見られ，さらに両方の形質を有する細胞も少数認められた。以上の所見は，膵臓の外·内分泌細胞の組織発生に関連していると考えられた。

キーワード: pancreas, mixed acinar-endocrine carcinoma, immuno-electron microscopy, chromogranin A, amylase

A case of mixed acinar-endocrine carcinoma of the pancreas

Kenshi Yoshimura¹, Kenji Kashima², Naomi Yada², Tsutomu Daa², Haruto Nishida², Shinsuke Takeno³, Kiyoshi Ono³, Shin-ichi Yamashita³, Katsunobu Kawahara³, and Shigeo Yokoyama²

¹School of Medicine, Departments of ²Diagnostic Pathology, and ³Surgery 2, Faculty of Medicine, Oita University

（論文受付　2011年2月4日）

（採用決定　2011年4月22日）