総　　説

非浸潤性乳管癌および乳管内病変の病理診断:最近の話題も含めて

森谷　卓也　　　鹿股　直樹　　　小塚　祐司

川崎医科大学病理学2

要旨: 非浸潤性乳管癌（DCIS）の形態は多彩である。乳頭状部では二相性，核重積部（篩型·低乳頭型·充実型）では細胞の均質性が良性疾患との鑑別に役立つ。しかし，平坦型病変は核所見のみで評価せねばならず，客観性評価の指標策定が望まれる。また，多くの研究成果から，DCISの発生過程は単一ではないことも明らかにされ，低悪性度のDCISは平坦型異型や異型乳管過形成（ADH）の過程を経ると推測されている。浸潤癌発生のリスク因子として以外にも，前癌病変の意義を有するADHが存在する可能性がある。

キーワード: breast, papillary lesion, ductal carcinoma in-situ（DCIS）, atypical ductal hyperplasia（ADH）, flat epithelial atypia （FEA）

Pathology of ductal carcinoma in-situ and papillary lesion of the breast:an update

Takuya Moriya, Naoki Kanomata, and Yuji Kozuka

Department of Pathology, Kawasaki Medical School

（論文受付　2011年 5月 6日）

（採用決定　2011年 5月13日）