症例報告

膀胱原発悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍の1例

伊丹　弘恵　　　酒井　康裕　　　狛　雄一朗
梶本　和義　　　佐久間淑子　　　大林　千穂

（兵庫県立がんセンター病理診断科）

要旨: 60代前半男性の肉眼的血尿を契機に発見された膀胱原発悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍の1例を報告する。腫瘍は膀胱左壁に位置し，若干の浸潤性格を呈していた。組織像では，淡明な胞体を有する上皮様あるいは紡錘形細胞が充実性に増殖し，腫瘍細胞間には血管が介在していた。免疫組織化学染色ではHMB45と筋原性マーカーが陽性であった。診断基準は確立されていないものの，一部で核の異型や壊死があり，Ki-67 labelling indexが38%と高値であることから，悪性の範疇と判定した。

キーワード: urinary bladder, perivascular epithelioid cell tumor, PEComa, malignant

A case of malignant perivascular epithelioid cell tumor of the urinary bladder

Hiroe Itami, Yasuhiro Sakai, Yuichiro Koma, Kazuyoshi Kajimoto, Toshiko Sakuma, and Chiho Ohbayashi

Department of Pathology, Hyogo Cancer Center

（論文受付　2010年11月17日）

（採用決定　2011年 1月17日）