症例報告

再発を繰り返したオトガイ部脱分化型脂肪肉腫の1例

小南　理美¹　　　梶浦　　大¹　　　藤野　雅彦¹
藤原　成祥²　　　大岩伊知郎²　　　大井　章史³
伊藤　雅文¹

（¹名古屋第一赤十字病院病理部，²同　口腔外科，³金沢大学医学部分子細胞病理学）

要旨: 症例は80歳代，男性。22年前に初発したオトガイ部の皮下腫瘍で，4年前に再発を来し切除術が施行された。今回の切除検体は，組織学的には真皮∼皮下組織に紡錘形細胞の増生からなる結節性病変がみられ，その深部には高分化な脂肪腫様病変を認めた。FISH法ではMDM2の増幅が認められ，表層で脱分化を伴う脂肪肉腫と考えられた。初発から23年経過した2度目の再発で，FISH法によるMDM2の解析により，脂肪肉腫の診断に至った。

キーワード: Mentum, Liposarcoma, MDM2, FISH

A repeated recurrence case of submental dedifferentiated liposarcoma

Ayami Kominami¹, Dai Kajiura¹, Masahiko Fujino¹, Shigeyoshi Fujiwara², Ichiro Oh-iwa², Akishi Ooi³, and Masafumi Ito¹

Departments of ¹Pathology and ²Oral and Maxillofacial Surgery, Japanese Red Cross, Nagoya 1-st Hospital
³Department of Molecular and Cellular Pathology, Kanazawa University School of Medical Science

（論文受付　2010年 5月 6日）

（採用決定　2010年12月13日）