症例報告

肺および胸膜病変を呈したIgG4関連硬化性疾患の1例

新垣　京子¹　　　佐藤　陽子²　　　妹尾　真実²
岩渕　悠介²　　　馬場　基男²　　　松本　　強²
我喜屋　亮³

（¹友愛会豊見城中央病院病理診断科，²同　内科，³同　外科）

要旨: 77歳男性の，肺および胸膜に発生したIgG4関連硬化性疾患の1例を経験した。肺病変は右肺S9領域，胸膜近傍に位置し，3cm程の広がりがあった。組織学的には，末梢の気管支血管束を主座として大小の結節が増生癒合し，結節内に胚中心を伴うリンパ濾胞が多発しており，濾胞周囲に多数のIgG4陽性形質細胞が浸潤していた。閉塞性血管炎の像も散見された。壁側胸膜には線維化とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤巣を認めた。血清IgG4値は高値であり，以上の所見よりIgG4関連硬化性肺胸膜病変と診断した。

キーワード: lung, pleura, IgG4 related sclerosing lesion, histology

A case of IgG4-related sclerosing disease with pulmonary and pleural lesion

Kyoko Arakaki¹, Yoko Sato², Mami Seno², Yusuke Iwabuchi², Moto Baba², Tsuyoshi Matumoto², and Akira Gakiya³

Departments of ¹Pathology, ²Internal Medicine, and ³Surgery, Yuuaikai Tomishiro Central Hospital

（論文受付　2010年 8月 3日）

（採用決定　2010年11月19日）