症例報告

孤在性腸管症関連T細胞リンパ腫の1例

鈴木 潮人   田尻 亮輔   大井 章史

(金沢大学大学院医学系研究科·分子細胞病理学)

要旨: 腸管症関連T細胞リンパ腫は稀な疾患であり,病変が多発することが多く,予後不良である。今回,我々は,孤在性の病変で,術後1年以上の経過で再発を認めない症例を経験したので,報告する。症例は69歳男性。貧血の精査時に小腸に孤在性の腫瘤を指摘された。組織学的には類円形および不規則な形の核を有する中型の腫瘍細胞が粘膜から漿膜下層までび漫性に増殖しており,残存する腺管内には腫瘍細胞が虫食い状に浸潤していた。免疫組織化学では,CD3,CD8,CD56は陽性,CD5, granzyme Bは部分的に陽性であった。

キーワード: ileum, enteropathy-associated T-cell lymphoma, EATL


A case of solitary enteropathy-associated T-cell lymphoma of the ileum

Shioto Suzuki, Ryosuke Tajiri, and Akishi Ooi

Department of Molecular and Cellular Pathology, Kanazawa University Graduate School of Medical Science

(論文受付 2010年 8月26日)

(採用決定 2010年11月30日)