症例報告

肺結節性病変と多彩な心病変を認めた悪性関節リウマチの1剖検例

中村　悦子¹　　　後藤　純規²　　　熊澤　昭文³

(¹独立行政法人国立病院機構豊橋医療センター臨床検査科，²同　総合内科，³同　呼吸器内科)

要旨: 患者は60代後半男性。死亡約1年8ケ月前関節リウマチと診断され，副腎皮質ステロイド製剤を内服していた。死亡数ケ月前より失神発作を認め，精査にて洞性徐脈と診断された。死亡約2週間前より発熱，意識障害をきたし，救急外来に搬送された。両肺に空洞を伴う多発性結節影を認め，結核が疑われたが抗酸菌は検出されなかった。その後回復することなく永眠された。剖検では小動脈主体の血管炎が消化管を主体に広がり，リウマチ結節が両側肺，リンパ節，脾臓，右腸腰筋，左心室に認められた。また心外膜炎を合併し，洞房結節∼右房周囲では心筋にも炎症が波及していた。

キーワード: rheumatoid arthritis, rheumatoid vasculitis, rheumatoid nodule, lung, heart

An autopsy case of rheumatoid vasculitis with pulmonary nodular lesions and various cardiac lesions

Etsuko Nakamura¹, Suminori Gotoh², and Akihumi Kumazawa³

Divisions of ¹Pathology, ²Internal Medicine, and ³Respiratory Medicine, National Hospital Organization, Toyohashi Medical Center

(論文受付 2010年 6月 8日)

(採用決定 2010年 9月 9日)