症例報告

腫瘍内血腫を伴った類上皮型神経鞘腫の1例

長尾　祐一¹　　　安達　耕一²　　　今村宏太郎³
松山　篤二¹　　　久岡　正典¹　　　橋本　　洋¹

(¹産業医科大学医学部第1病理学教室，²長崎百合野病院，³いまむら整形外科)

要旨: 類上皮型神経鞘腫は上皮様形態を示す細胞から成る神経鞘腫の稀な亜型であり，時に診断が困難である。今回，73歳女性の手掌部に発生した同腫瘍を経験したので報告する。腫瘍は線維性被膜に包まれた小結節であり，中心部に血腫を形成していた。辺縁部には粘液腫状基質を伴って上皮様・短紡錘形腫瘍細胞が増殖し，硝子化した小血管も認められた。免疫染色ではS-100蛋白がびまん性に陽性であり，電顕的にシュワン細胞の特徴を認めた。上皮様形態を示す良性非上皮性腫瘍の中で本亜型の存在を認識しておくことは重要であると考えられる。

キーワード: soft tissue, epithelioid schwannoma, immunohistochemistry, electron microscopy

A case of benign epithelioid schwannoma with intratumoral hematoma

Yuichi Nagao¹, Koichi Adachi², Kotaro Imamura³, Atsuji Matsuyama¹, Masanori Hisaoka¹, and Hiroshi Hashimoto¹

¹Department of Pathology and Oncology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
²Nagasaki Yurino Hospital Nagasaki
³Imamura Clinic

(論文受付 2010年 5月31日)

(採用決定 2010年 8月16日)