原　　著

膵粘液性腫瘍における線維芽細胞の免疫組織化学的解析

井野邉　恵　　　大倉　康男　　　坂本　穆彦

(杏林大学医学部病理学教室)

要旨: 膵管内乳頭粘液性腫瘍（IPMNs）および粘液性嚢胞腫瘍（MCNs）の間質線維芽細胞の免疫組織化学的特徴を，浸潤性膵管癌（IDC）を対照とし，手術検体でCD34，α-SMA染色を用い解析した。対象はIPMNs 34例，MCNs 14例，そしてIDC 16例である。3疾患ともα-SMA陽性率に差はなく，CD34染色ではMCNs，IPMNsはIDCと比し，IPMNsはMCNsと比し陽性細胞を有意に多く認めた。IPMNs，MCNsは遺伝子学的に腺腫由来とされており，上皮の発育進展過程が異なる疾患においては，線維性間質も異なる発育を示すことが免疫組織化学的に推測された。

キーワード: Pancreas, IPMNs, MCNs, fibroblasts, CD34

Immunohistochemical analysis on fibroblasts of pancreatic mucinous tumors

Megumi Inobe, Yasuo Ohkura, and Atsuhiko Sakamoto

Department of Pathology, Kyorin University School of Medicine

(論文受付 2010年 8月 5日)

(採用決定 2010年 10月12日)