総　　説

アスベスト曝露と中皮腫の病理診断

亀井　敏昭¹　　　渋田　秀美²　　　岡村　　宏³
佐久間暢夫⁴

(¹山口県立総合医療センター病理科，²同　中央検査部，³同　地域医療部，⁴萩市国保川上診療所)

要旨: 戦後復興，高度成長期のアスベスト使用に伴う健康被害の中で，社会的に大きな問題となった中皮腫の増加や病理診断の現状について述べた。その中で，中皮腫の多彩な組織学的特徴を呈し，鑑別診断が難しい点，診断のきっかけとなりやすい体腔液細胞診での診断のポイントについて言及した。病理組織診断および細胞診断では免疫組織化学的検索が必須であり，通常使用されるカルレチンなど抗体パネルによる染色態度，更には中皮腫と反応性中皮との鑑別に有用なマーカーについても触れた。

キーワード: アスベスト，中皮腫，病理診断，細胞診断，免疫組織化学

Asbest exposure and pathological diagnosis of mesothelioma

Toshiaki Kamei¹, Hidemi Shibuta², Hiroshi Okamura³, and Hideo Sakuma⁴

Divisions of ¹Pathology, ²Central Laboratory, and ³Community Medicine, Yamaguchi Grand Medical Center
⁴Hagi City Kokuho Kawakami Clinic

(論文受付 2010年 9月27日)

(採用決定 2010年10月13日)