症例報告

α-フェトプロテイン陽性細胞を混在した大腸内分泌細胞癌の1例

佐藤　英之^1,2　　　高野　　潤^1,2　　　緒形　真也¹
宮脇　元彦^1,2　　　瀬尾　伸夫³　　　 本山　悌一¹

(¹山形大学医学部人体病理学，²同　第二内科，³済生会山形済生病院外科)

要旨: 内分泌細胞癌と肝様腺癌とは，いずれも稀な腫瘍であり，それぞれ独立した疾患単位と考えられている。両者が混在している例の報告は少なく，これまで英文，和文合わせても4例にすぎず，その発生に関してはほとんど言及されていない。今回，ほとんど内分泌細胞癌からなる腫瘍の中に肝様腺癌的細胞が混在している例に遭遇し，1つの細胞が内分泌細胞的性格と肝様細胞的性格の両方を有している可能性を示す所見を得た。内分泌細胞癌と肝様腺癌との混在例の成り立ちを考えるうえで貴重な症例と考え，報告する。

キーワード: Endocrine cell carcinoma, hepatoid cell, α-fetoprotein, colon

Endocrine cell carcinoma containing α-fetoprotein-positive cells in the colon. A case report

Hideyuki Sato^1,2, Jun Takano^1,2, Shin-ya Ogata¹, Motohiko Miyawaki^1,2, Nobuo Seo³, and Teiichi Motoyama¹

Departments of ¹Pathology and ²Internal Medicine, Yamagata University School of Medicine
³Department of Surgery, Saiseikai Yamagata Saisei Hospital

(論文受付 2009年10月 6日)

(採用決定 2010年 6月15日)