症例報告

類基底細胞癌と内分泌細胞癌との鑑別に苦慮した食道低分化扁平上皮癌の1例

久保　輝文^1,2,3,4　　　村上　慶洋²　　　北上　英彦²
池田　淳一²　　　　 立花　靖大³　　　上林　　実³
神田　　誠⁴

(¹北見赤十字病院臨床研修医，²同　外科，³同　消化器内科，⁴同　病理部)

要旨: 症例は68歳男性。食道胃接合部，S状結腸，および体幹部の骨格筋，皮膚に腫瘍を認め，それぞれ切除術を施行した。いずれの腫瘍も形態学的，免疫組織化学的に類似し，同一腫瘍と考えられた。食道に上皮内腫瘍が見られたことと，サイトケラチンの発現パターンより食道原発が考えられ，形態学的に類基底細胞癌または内分泌細胞癌を疑った。両組織型は頭頸部や肺にも見られるが，鑑別はしばしば困難となる。今回，我々はいずれにも分類し難く，類基底細胞癌様の形態を示す低分化扁平上皮癌と診断した症例を経験したので報告する。

キーワード: esophagus, basaloid carcinoma, endocrine cell carcinoma

A case of poorly differentiated squamous cell carcinoma with basaloid-like appearance and endocrine feature of esophagus

Terufumi Kubo^1,2,3,4, Yoshihiro Murakami², Hidehiko Kitagami², Junichi Ikeda², Yasuhiro Tachibana³, Minoru Uebayashi³, and Makoto Kanda⁴

¹Resident Physician, Departments of ²Surgery, ³Gastroenterology, and ⁴Pathology, Kitami Red Cross Hospital

(論文受付 2009年12月 4日)

(採用決定 2010年 5月14日)