症例報告

泡沫状胞体を有する巨細胞癌の形をとった甲状腺未分化癌の1例

柳内　　充¹　　　高田　明生¹　　　青木　直子²
安住　　誠²　　　林　　諭史²　　　佐藤　啓介²
立野　正敏²　　　小林　博也²

(¹市立旭川病院病理科，²旭川医科大学病理学講座)

要旨: 80代半ば女性の頸部腫瘍として発見された未分化癌（Undifferentiated carcinoma; UC）の1例を報告する。頸部リンパ節腫大に気付き，画像では甲状腺はびまん性に腫大し，食道と気管への浸潤が疑われた。頸部腫瘍および腫大した周囲リンパ節生検では奇怪な大型核と泡沫状の広い胞体を有する大型異型細胞が結合性に乏しく増殖していた。免疫染色でサイトケラチン，vimentinが陽性であり，甲状腺原発未分化癌と診断した。UCを巨細胞亜型，紡錘細胞亜型，および多形細胞亜型に分けるとすると，本例は巨細胞亜型に入ると考えるが，泡沫状胞体は非定型的であり，若干の文献的考察を加えて報告した。

キーワード: thyroid, undifferentiated carcinoma, TTF-1, thyroglobulin

A case of thyroid undifferentited giant cell carcinoma with foamy cytoplasm

Mitsuru Yanai¹, Akio Takada¹, Naoko Aoki², Makoto Azumi², Satoshi Hayashi², Keisuke Sato², Masatoshi Tateno², and Hiroya Kobayashi²

¹Department of Pathology, Asahikawa City General Hospital
²Department of Pathology, Asahikawa Medical College

(論文受付 2009年 9月14日)

(採用決定 2010年 5月14日)