症例報告

中間型肝癌と思われる1例

渡辺　次郎^1,5　　　平城　　守²　　　吉田　　博³
田口　　順⁴　　　 中島　　収⁵　　　矢野　博久⁵

(¹公立八女総合病院病理，²同　外科，³同　内科，⁴朝倉医師会病院病理，⁵久留米大学病理学教室)

要旨: 症例は75歳女性。C型慢性肝炎の治療中に発見された肝腫瘍である。組織学的に肝細胞癌と胆管細胞癌の中間的な形態，染色態度を示し中間型肝癌と判断した。中間型肝癌は現時点ではWHOやAFIPといった標準的なテキストには採用されていない診断名であるが，その存在を支持する複数の論文がみられる。混合型肝癌や細胆管細胞癌との異同が問題となる肝腫瘍である。

キーワード: liver, combind hepatocellular and cholangiocellular carcinoma, intermediate phenotype, hepatic progenitor cell, hepatic stem cell

A case of liver carcinoma possibility of intermediate phenotype

Jiro Watanabe^1,5, Mamoru Hiraki², Hiroshi Yoshida³, Jun Taguchi⁴, Osamu Nakashima⁵, and Hirohisa Yano⁵

Departments of ¹Pathology, ²Surgery, and ³Internal Medicine, Yame General Hospital
⁴Department of Pathology, Asakura Medical Association Hospital
⁵Department of Pathology, Kurume University

(論文受付 2009年11月 6日)

(採用決定 2010年 5月14日)