原　　著

腸管スピロヘータの感染頻度と臨床病理学的検討

立石　陽子¹　　　堀口慎一郎¹　　　根本　哲生¹
比島　恒和¹　　　小泉　浩一²　　　船田　信顕¹

(¹がん・感染症センター都立駒込病院病理科，²同　内視鏡科)

要旨: 2007年1月1日から2008年12月31日に当院で経験した大腸内視鏡生検材料・大腸内視鏡的切除材料の組織標本を用い，腸管スピロヘータ感染の頻度と臨床病理学的事項を検討した。2,067例中19例に腸管スピロヘータが認められた（0.9%)。男女比は18 : 1で，易感染患者は2例であった。10例が腹部臨床症状を伴い，うち3例のみに内視鏡的または組織学的に炎症所見が認められた。腸管スピロヘータのヒトに対する病原性は明らかでなく，腹部臨床症状の有無に関わらず，一定の頻度で感染している可能性があると考えられた。

キーワード: colon intestinal spirochetosis, colitis, B. aalborgi, B. pilosicoli

Intestinal spirochetosis; its incidence and clinicopathological features

Yoko Tateishi¹, Shin-ichiro Horiguchi¹, Tetsuo Nemoto¹, Tsunekazu Hishima¹, Koichi Koizumi², and Nobuaki Funata¹

Departments of ¹Pathology and ²Endoscopy, Tokyo Metropolitan Cancer and Infectious Diseases Center Komagome Hospital

(論文受付 2010年 2月 5日)

(採用決定 2010年 6月 8日)