症例報告

糖尿病および再生不良性貧血に合併した肝結節性再生性過形成（nodular regenerative hyperplasia）の1剖検例

高野　将人¹　　　武田麻衣子¹　　　森田　剛平¹
榎本　泰典¹　　　笠井　孝彦¹　　　野々村昭孝¹
山下　慶悟²　　　原田　幸児²　　　山崎　正晴³
福井　　博³

(¹奈良県立医科大学病理診断学講座，²同　循環器内科，³同　消化器内科)

要旨: 71歳，男性。8年前からアルコール性肝硬変，再生不良性貧血，糖尿病にて通院・加療されており，難治性腹水や食道静脈瘤および高アンモニア血症を認めていた。腎機能障害が進行し，腹膜透析が導入されたが，肝性昏睡および上部消化管出血による出血性ショックにて死亡した。剖検では，肝臓は著明に萎縮し，肉眼的に肝全体に小結節がみられ，肝硬変に類似していたが，組織学的には線維性隔壁の形成はみられず，結節性再生性過形成（nodular regenerative hyperplasia）の像であった。また，骨髄は低形成性であり，膠様髄の領域もみられ，再生不良性貧血の像を呈していた。

キーワード: liver, nodular regenerative hyperplasia, aplastic anemia, autopsy case

An autopsy case of nodular regenerative hyperplasia of the liver with aplastic anemia

Masato Takano¹, Maiko Takeda¹, Kouhei Morita¹, Yasunori Enomoto¹, Takahiko Kasai¹, Akitaka Nonomura¹, Keigo Yamashita², Koji Harada², Masaharu Yamazaki³, and Hiroshi Fukui³

Departments of ¹Diagnostic Pathology, ²Cardiology, and ³Gastroenterology, Nara Medical University School of Medicine　

(論文受付 2010年 1月19日)

(採用決定 2010年 4月 5日)