症例報告

急激な経過をたどった肝血管肉腫の1剖検例

本間まゆみ¹　　　九島　巳樹²　　　斉藤　光次²
国村　利明³　　　矢持　淑子¹　　　瀧本　雅文¹
太田　秀一¹

(¹昭和大学医学部第二病理学教室，²昭和大学病院病理診断科，³昭和大学医学部第一病理学教室)

要旨: 肝血管肉腫は稀な腫瘍である。今回急激な経過で死亡し，剖検で初めて診断できた症例を報告する。症例は70歳代後半，女性。ふらつき，食欲低下を主訴に他院に入院した。貧血，血小板減少，肝腫大，左肺野浸潤像，左胸水貯留を認め，加療されたが，全身状態が悪化した。中等度意識障害，低酸素血症で当院に搬送中急変し，死亡した。病理解剖で肝臓に紡錘形∼多辺形の異型細胞がびまん性に浸潤・増殖していた。免疫組織化学ではこれらの細胞はCD34，CD31などの血管内皮マーカーが陽性であり肝血管肉腫と診断した。

キーワード: liver, angiosarcoma, autopsy, mesenchymal tumor

An autopsy case of angiosarcoma of the liver with aggressive course

Mayumi Homma¹, Miki Kushima², Koji Saito², Toshiaki Kunimura³, Toshiko Yamochi¹, Masafumi Takimoto¹, and Hidekazu Ota¹

¹Second Department of Pathology and ³First Department of Pathology, Showa University School of Medicine
²Division of Diagnostic Pathology, Showa University Hospital

(論文受付 2009年 9月 2日)

(採用決定 2010年 2月18日)