症例報告

左大腿に発生した紡錘形細胞型血管腫の1例

谷口　千尋¹　　　青木　直子²　　　安住　　誠²
林　　諭史²　　　小林　博也²　　　佐藤　啓介²
立野　正敏²

(¹旭川医科大学，²同　病理学講座)

要旨: 10代半ば女性の大腿皮下腫瘍として発見された紡錘形細胞型血管腫の一例を報告する。5, 6年前に左大腿外側に青あざが出現し，最近になり膨隆と疼痛を認めるようになったため切除術が施行された。真皮直下から脂肪組織にかけて，拡張した血管，毛細血管，周囲の紡錘形細胞の増生からなる結節状病変が樹枝状にみられた。カポジ肉腫との鑑別が問題になるが，個々の細胞に異型性はなく，Ki-67陽性率が低かったことにより，鑑別は可能であった。組織学的に典型例であり，若干の文献的考察を加えて報告する。

キーワード: Subcutaneous tissue, Sindle cell hemangioma, Kaposi's sarcoma, Angiomatosis

A case of spindle cell hemangioma at left thigh

Chihiro Taniguchi¹, Naoko Aoki², Makoto Azumi², Satoshi Hayashi², Hiroya Kobayashi², Keisuke Sato², and Masatoshi Tateno²

¹Asahikawa Medical College
²Department of Pathology, Asahikawa Medical College

(論文受付 2009年 9月 4日)

(採用決定 2009年11月24日)