症例報告

梨状窩瘻の感染波及により生じた降下性化膿性縦隔炎および両側膿胸の1剖検例

佐藤　浩子¹　　　浅野　重之²　　　秋庭真理子³
小山　　敦⁴

(¹いわき市立総合磐城共立病院歯科口腔外科，²同　病理科，³同　小児科，⁴同 救命救急センター)

要旨: 症例は38歳女性。扁桃腫脹を自覚していたが，7日目から前胸部痛と咽頭痛が強くなった。12日目に無呼吸状態で倒れているところを発見され，救急搬送後45分で永眠。病理解剖により，右咽頭部に潰瘍と瘻孔を認め，それより下部の頸部裂隙，胸腺，心外膜，胸腔および縦隔には炎症細胞浸潤と壊死物質があり，両側腎にはびまん性尿細管壊死が認められた。なお，血液や胸水の培養では口腔内常在菌が検出された。以上，本症例は，右側梨状窩瘻の感染波及により生じた降下性化膿性縦隔炎および両側膿胸であることが判明した。

キーワード: piriform sinus fistula, pyothorax, mediastinitis, sepsis

A case of descending supprative mediastinitis and pyothorax induced infective piriform fistula

Hiroko Sato¹, Shigeyuki Asano², Mariko Akiba³, and Atsushi Koyama⁴

Departments of ¹Dentistry and Oral Surgery, ²Pathology, ³Pediatrics, and ⁴Emergency Medicine, Iwaki Kyoritsu General Hospital

(論文受付 2009年 7月 7日)

(採用決定 2009年12月 3日)