症例報告

偽血管腔構造が特徴的な皮膚髄膜腫

外岡　暁子¹　　　計良　淑子¹　　　荻野　次郎¹
菊地　智樹¹　　　香月奈穂美²　　　串田　吉生²
羽場　礼次²　　　長谷川　匡¹

(¹札幌医科大学医学部病理診断学，²香川大学医学部附属病院病理部)

要旨: 皮膚髄膜腫は非常にまれであり，臨床診断がつけられずに切除されてくることが多い。今回提示する2症例はいずれも1歳の幼児で，頭部の腫瘤を主訴に来院した。1例は直下の骨縫合線部の骨欠損を伴っていた。組織学的には髄膜皮細胞に裏打ちされた空隙が散見され，周囲に通常髄膜腫と同様の所見を伴っていた。偽血管腔と呼ばれるこの空隙が特徴的であり，症例によってはこの空隙のみが主体で，診断に難渋することが想定されることから，診断の際に注意して観察することが望まれる。

キーワード: skin, meningioma, pseudovascular space, hamartoma

Cutaneous meningioma characterized by pseudovascular spaces

Akiko Tonooka¹, Yoshiko Keira¹, Jiro Ogino¹, Tomoki Kikuchi¹, Nahomi Katsuki², Yoshio Kushida², Reiji Haba², and Tadashi Hasegawa¹

¹Department of Surgical Pathology, Sapporo Medical University
²Department of Diagnostic Pathology, Kagawa University Hospital

(論文受付 2009年 8月24日)

(採用決定 2009年11月24日)