症例報告

神経線維腫症1型患者に発生した爪甲下グロムス腫瘍の2例

吉村　健司¹　　　矢田　直美²　　　駄阿　　勉²
加島　健司²　　　上原　　幸³　　　加藤　愛子³
清水　史明³　　　藤原　作平³　　　横山　繁生²

(¹大分大学医学部医学科，²同　診断病理学講座，³同　皮膚科・形成外科学講座)

要旨: 神経線維腫症1型（以下，NF-1）患者に発生したグロムス腫瘍の2例を報告する。症例は54歳女性（症例1）と37歳女性（症例2）のNF-1患者で，爪甲下に有痛性腫瘍が生じ，切除術が施行された。組織学的には，症例1に13個，症例2に2個の多結節状腫瘍が認められた。組織学的には典型的な充実型グロムス腫瘍であったが，間質部分に神経組織が目立った。非NF-1患者に発生したグロムス腫瘍と腫瘍内神経組織の占有率を比較したところ，NF-1患者2例の占有率が有意（p<0.01）に高かった。

キーワード: subungual glomus tumor, neurofibromatosis type 1, neural tissue, S-100 protein

Two cases of subungual glomus tumor in a patient with neurofibromatosis type 1

Kenshi Yoshimura¹, Naomi Yada², Tsutomu Daa², Kenji Kashima², Miyuki Uehara³, Aiko Kato³, Fumiaki Shimizu³, Sakuhei Fujiwara³, and Shigeo Yokoyama²

¹School of Medicine, Departments of ²Diagnostic Pathology, and ³Dermatology and Plastic Surgery, Faculty of Medicine, Oita University

(論文受付 2009年 9月14日)

(採用決定 2009年11月12日)