症例報告

小腸転移により腸重積を惹起した肺原発癌肉腫の1例

大西　紘二¹　　　村山　寿彦²　　　森松　嘉孝¹
吉野　　歩²　　　竹屋　元裕¹

(¹熊本大学大学院医学薬学研究部細胞病理学分野，²国立病院機構熊本医療センター臨床研究部病理研究室)

要旨: 小腸転移により腸重積を発症した肺原発癌肉腫の剖検例を報告する。症例は70歳代後半の男性で，右肺S¹⁰ に7.6×6.1 cmの腫瘍が認められ肺癌（組織型は確定できず）と診断された。初診から9ケ月後に腸重積を発症し，原因となった小腸の有茎性ポリープ状腫瘍の摘出が行われた。肺癌からの転移が疑われたが，その組織像は肉腫の所見であった。剖検後の検索により，肺腫瘍は多形性に富む横紋筋肉腫の成分と少量の大細胞癌の成分が混在していることが明らかとなったため癌肉腫と診断した。小腸には計3個のポリープ状の腫瘍を認め，いずれも肺の癌肉腫からの転移であった。

キーワード: lung, pulmonary carcinosarcoma, small intestine metastasis, intussusception, autopsy case

An autopsy case of pulmonary carcinosarcoma with small intestine metastases causing intussusception

Koji Ohnishi¹, Toshihiko Murayama², Yoshitaka Morimatsu¹, Ayumu Yoshino², and Motohiro Takeya¹

¹Department of Cell Pathology, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University
²Division of Pathology, National Hospital Organization Kumamoto Medical Center

(論文受付 2009年 6月29日)

(採用決定 2009年 9月30日)