症例報告

剖検にて判明したMRSA感染後糸球体腎炎の1例

渋谷　　亮¹　　　松山　篤二²　　　丸山　哲矢³
原　由紀子⁴　　　原武　譲二⁵　　　橋本　　洋²

(¹産業医科大学医学部，²同　第1病理，³済生会八幡総合病院内科，⁴同　腎センター，⁵同　病理)

要旨: MRSA肺炎による呼吸不全で死亡し，剖検にてMRSA感染後糸球体腎炎と考えられた1例を報告する。剖検所見にてIgAのメサンギウム領域への沈着をみる，半月体形成性腎炎が確認され，腎障害の経時的な検討からMRSA感染後腎炎と診断された。基礎疾患の病態が高度であると本腎炎が発症していても診断されずに見逃されてしまう可能性があるが，感染性の糸球体腎炎の原因として本腎炎は重要な比率を占めるとされ，重篤なMRSA感染症の合併症として留意すべき病態と考えられる。

キーワード: kidney, post-MRSA infection glomerulonephritis, crescentic glomerulonephritis, MRSA, IgA

An autopsy case of post-MRSA infection glomerulonephritis

Ryo Shibuya¹，Atsuji Matsuyama², Tetsuya Maruyama³, Yukiko Hara⁴, Joji Haratake⁵, and Hiroshi Hashimoto²

¹Faculty of Medicine and ²Department of Pathology and Oncology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
Departments of ³Internal Medicine, ⁴Kidney Center and ⁵Pathology, Saiseikai Yahata General Hospital

(論文受付 2009年 4月28日)

(採用決定 2009年 8月26日)