症例報告

膵原発神経鞘腫の1例

宮井　由美　　　串田　吉生　　　門田　球一
坂東　健次　　　林　　俊哲　　　香月奈穂美
羽場　礼次

(香川大学医学部附属病院病理部)

要旨: 30代女性の膵頭部に発生した神経鞘腫の1例を報告する。造影CT検査では膵頭部に大きさ3.5 cmの腫瘤性病変が存在し，膵腫瘍の臨床診断で膵頭十二指腸切除術が施行された。肉眼的には膵頭部に3.5 cmの充実性病変がみられ，一部で嚢胞や出血が認められた。腫瘍はほぼ全周で膵組織に取り囲まれていた。組織学的に腫瘍では紡錘形の腫瘍細胞が束状に増殖し，核の柵状配列がみられ，部分的に粘液腫状の背景に繊細な突起をもつ腫瘍細胞が疎に増殖していた。免疫組織化学的に腫瘍細胞はS-100蛋白に陽性であった。以上から，膵原発の神経鞘腫と診断した。

キーワード: pancreas, schwannoma, S-100 protein

A case of pancreatic schwannoma

Yumi Miyai, Yoshio Kushida, Kyuichi Kadota, Kenji Bando, Toshitetsu Hayashi, Naomi Katsuki, and Reiji Haba

Department of Diagnostic Pathology, University Hospital, Faculty of Medicine, Kagawa University

(論文受付 2009年 4月 2日)

(採用決定 2009年 8月 5日)