症例報告

原発型エナメル上皮癌の1例

矢田　直美¹　　　加島　健司¹　　　高橋　喜浩²
山口　健司²　　　河野　憲司²　　　柳澤　繁孝²
駄阿　　勉¹　　　棚橋　　仁¹　　　横山　繁生¹

(¹大分大学医学部診断病理学講座，²同　歯科口腔外科学講座)

要旨: 下顎骨に発生した原発型エナメル上皮癌の1例を報告する。症例は62歳男性で，左下顎4-7頬舌側歯肉に32×20 mm大の腫瘍を認め，左下顎骨区域切除術が施行された。腫瘍の主座は下顎骨内にあり，辺縁歯肉への浸潤も見られた。組織学的に大小の胞巣から成り，胞巣中央部に明細胞，周辺部に好塩基性の類基底細胞，最外層には柵状配列を認めた。好塩基性細胞に軽度の異型性と多数の核分裂像（20/HPF）を認め，Ki-67陽性率は14%であった。既存の良性エナメル上皮腫成分がない事より，原発型エナメル上皮癌と診断した。

キーワード: mandible, odontogenic tumor, primary ameloblastic carcinoma, clear cell odontogenic carcinom

A case of ameloblastic carcinoma of primary type

Naomi Yada¹, Kenji Kashima¹, Yoshihiro Takahashi², Kenji Yamaguchi², Kenji Kawano², Shigetaka Yanagisawa², Tsutomu Daa¹, Jin Tanahashi¹, and Shigeo Yokoyama¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²Oral and Maxillofacial Surgery, Faculty of Medicine, Oita University

(論文受付 2008年8月 6日)

(採用決定 2009年6月26日)