症例報告

小児の回腸に発生したDieulafoy潰瘍の1例

武山　淳二¹　　　村山　晶俊²　　　虻川　大樹²
安藤　　亮³　　　佐藤　智行³　　　天江新太郎³
松田　知己⁴　　　長南　明道⁴

(¹宮城県立こども病院臨床病理科，²同　総合診療科，³同　外科，⁴仙台厚生病院消化器内科)

要旨: 症例は13歳男児。黒色便と高度の貧血の原因精査を行ったところ，出血シンチグラフィーで回腸遠位部からの出血が疑われ，小腸内視鏡検査で回腸に潰瘍が認められた。腹腔鏡補助下開腹術で回腸末端から約150 cm口側の腸間膜付着部対側に径5 mmの潰瘍が認められ，回腸部分切除が施行された。病理組織では粘膜下層に存在する比較的太い動脈が潰瘍内に侵入しており，これが粘膜面で破綻したもの（Dieulafoy 潰瘍）と考えられた。本病変が小児の回腸に発生した例は非常に稀と考えられたため，ここに報告した。

キーワード: ileum, obscure gastrointestinal bleeding, Dieulafoy's lesion, capsule endoscopy, double balloon endoscopy

A pediatric case of Dieulafoy's lesion in the ileum

Junji Takeyama¹, Akitoshi Murayama², Daiki Abukawa², Ryo Ando³, Tomoyuki Sato³, Shintaro Amae³, Tomoki Matsuda⁴, and Akimichi Chounan⁴

Departments of ¹Pathology, ²General Pediatrics and ³Surgery, Miyagi Children's Hospital
⁴Department of Gastroenterology, Sendai Kousei Hospital

(論文受付 2009年3月 4日)

(採用決定 2009年5月15日)