症例報告

乳児線維性過誤腫（Fibrous hamartoma of infancy）の1例

青木　直子¹　　　及川　賢輔²　　　安住　　誠¹
小林　博也¹　　　佐藤　啓介¹　　　山尾　　健³
皆川　知広³　　　櫻井　宏治²　　　立野　正敏¹

(¹旭川医科大学病理学講座免疫病理分野，²旭川厚生病院病理，³同　形成外科)

要旨: 症例は1歳男児。生下時より背部に発毛を有する5 mm大の皮下結節を認めた。1歳10ケ月時には1.5 cm大に増大し摘出術が施行された。病変の主体は真皮網状層から皮下脂肪織内にかけて認められ，組織学的には交錯する索状の線維性組織，未分化間葉系細胞の島状の増生と，成熟脂肪組織の3成分からなる。これらの成分が混在し類臓器構造を呈していた。病変部直上の皮膚には軽度乳頭腫症と発毛，エクリン腺過形成が認められた。免疫組織学的には未分化間葉系細胞にCD34が強陽性であった。以上から乳児線維性過誤腫（Fibrous hamartoma of infancy）と診断した。若干の文献的考察を加え報告する。

キーワード: subcutaneous tissue, fibrous hamartoma of infancy, immunohistochemistry

A case of fibrous hamartoma of infancy

Naoko Aoki¹, Kensuke Oikawa², Makoto Azumi¹, Hiroya Kobayashi¹, Keisuke Sato¹, Takeshi Yamao³, Tomohiro Minagawa³, Hiroharu Sakurai², and Masatoshi Tateno¹

¹Department of Pathology, Asahikawa Medical College
Departments of ²Pathology and ³Plastic and Reconstructive Surgery, Asahikawa Kosei General Hospital

(論文受付 2009年2月20日)

(採用決定 2009年5月15日)