症例報告

Hyaline cell-rich chondroid syringomaの1例

本田　由美　　　安里　嗣晴　　　石原　園子
猪山　賢一

(熊本大学医学部附属病院病理部)

要旨: 68歳女性の右手掌皮下に発症したhyaline cell-rich chondroid syringomaの1例を報告する。境界明瞭な結節性病変で，楕円形の核を有する小型の腫瘍細胞とともに，核内空胞の目立つ大型の核と好酸性の豊富な細胞質を有する腫瘍細胞が見られた。核/細胞質比の増加は目立たず，核分裂像や壊死は認めなかった。免疫組織化学で腫瘍細胞はAE1/AE3，CAM 5.2，cytokeratin (CK) 5/6，vimentinがびまん性に陽性で，CK14，S-100蛋白，p63が一部陽性であった。Chondroid syringomaに見られるhyaline cellの本態は変性した上皮系腫瘍細胞と考えられている。大型で多形性のある核を有する細胞が目立つ場合，悪性腫瘍との鑑別が重要である。

キーワード: skin, soft tissue, chondroid syringoma, mixed tumor, hyaline cell

A case of hyaline cell-rich chondroid syringoma

Yumi Honda, Tsuguharu Asato, Sonoko Ishihara, and Ken-ichi Iyama

Department of Surgical Pathology, Kumamoto University Hospital

(論文受付 2009年5月12日)

(採用決定 2009年7月 6日)