症例報告

硬化性変化を欠く腎門部IgG4関連疾患

宮崎 盟子1   原武 讓二2   高野 徳昭3
崎野 郁夫4   中村 直哉5

(1済生会八幡総合病院研修医,2同 病理,3同 泌尿器科,4同 放射線科,5東海大学医学部病理学教室)

要旨: 症例は60代女性であり,CTで左腎門部腫瘍が検出されて左腎切除を受けた。腫瘤は腎門部脂肪識内にあり,灰白色充実性で比較的軟らかかった。組織学的には胚中心を伴う多数のリンパ濾胞構造と,その間の密なリンパ球ならびに形質細胞浸潤からなり,形質細胞には異型性や2核細胞は見られなかった。免疫染色で浸潤する形質細胞のほとんどがIgG陽性,かつその70%がIgG4陽性を示した。以上より線維性硬化は全く見られないが,IgG4関連疾患と診断した。硬化性変化を全く欠く病変は珍しく,いわゆるCastleman病などとの鑑別が問題となった。

キーワード: kidney, retroperitoneum, IgG4-related disease, Castleman's disease


Perirenal tumefactive IgG4-related disease without fibrosclerotic changes

Chikako Miyazaki1, Joji Haratake2, Naruaki Takano3, Ikuo Sakino4, and Naoya Nakamura5

1Resident, Departments of 2Pathology, 3Urology, and 4Radiology, Saiseikai Yahata Sogo Hospital

(論文受付 2009年 2月 9日)

(採用決定 2009年 4月 7日)