症例報告

滲出性炎症像の目立った皮膚mycobacterium marinum感染症の1例

中村　悦子¹　　　林　由美子¹　　　北村　達彦^2,3
林　　佳代²

(¹独立行政法人国立病院機構　豊橋医療センター臨床検査科，²同　皮膚科，³名古屋第一赤十字病院皮膚科)

要旨: 患者は釣りが趣味の70代男性。約半年前より右手首に紅色結節を生じるも軽快せず，当院皮膚科を受診，生検が行われた。組織学的には真皮内に広範にフィブリン析出，好中球，泡沫細胞の浸潤が目立ち，少数の類上皮細胞を混じていた。塗抹Ziehl-Neelsen標本で桿菌を認め，30℃小川培地からMycobacterium marinumが分離同定された。当感染症は魚を扱う職業・趣味の人に好発し，発育温度が25∼33℃であることから，通常温度の37℃では検出困難である。したがって病理組織像から当疾患を鑑別疾患として挙げられることが重要と思われる。

キーワード: skin, Mycobacterium marinum, nontuberculous mycobacterium, atypical mycobacterium

A case of skin infection of Mycobacterium marinum

Etsuko Nakamura¹, Yumiko Hayashi¹, Tatsuhiko Kitamura^2,3, and Kayo Hayashi²

Division of ¹Pathology and ²Dermatology, National Hospital Organization Toyohashi Medical Center

(論文受付 2008年12月15日)

(採用決定 2009年 4月 6日)