症例報告

2次性肺高血圧を呈した心臓原発横紋筋肉腫の1剖検例

竹川　義則¹　　　砂川　恵伸²　　　五島　桂子³
志村　美英³

(¹横須賀市立市民病院病理診断科，²日本大学医学部病態病理学系病理学分野，
³横須賀市立市民病院循環器内科)

要旨: 57歳，女性。6ケ月前に夜間臥位で呼吸困難が出現。心臓超音波検査で心房壁や僧帽弁への浸潤を伴う左房内腫瘤を指摘され，心臓カテーテル検査で肺高血圧を認めた。他施設で腫瘍摘出を試みるも腫瘍進展のため部分切除に留まった。病理診断は横紋筋肉腫であった。術後2ケ月で腫瘍再増大による心不全，呼吸困難を来し，術後5ケ月でDICを併発し死亡。剖検で左房に広基性腫瘍を認め，組織学的に多形型横紋筋肉腫であった。左肺，肝，両腎，膵，左副腎，脾に転移を認め，肺動静脈に左房腫瘍による2次性肺高血圧を示唆する内膜肥厚を認めた。

キーワード: heart, rhabdomyosarcoma, autopsy

An autopsy case of primary cardiac rhabdomyosarcoma with secondary pulmonary hypertension

Yoshinori Takekawa¹, Keishin Sunagawa², Keiko Goshima³, and Miei Shimura³

Departments of ¹Pathology and ³Cardiology, Yokosuka City Hospital
²Department of Pathology, Nihon University School of Medicine

(論文受付 2008年11月 4日)

(採用決定 2009年 1月19日)